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ラプラス変換を使って難しい積分を簡単に解く話

はじめに

なぜこの記事を書こうかと思ったかというと,昨年度(2014年度)の複素解析という広義で,次のような積分の問題が出題されたためです.

{\displaystyle \int_0^{\infty} \cos x^2 dx}

みなさんコレ解けますか? この積分の名前はフレネル積分というそうです. フレネル積分の値は \frac{1}{2}\sqrt{\frac{\pi}{2}}になります.

このフレネル積分,以下のブログ様では,なんと4つの記事にまたがり証明されています. かなり参考になる解法なので,複素解析の講義を取っている人は要確認です.

d.hatena.ne.jp

d.hatena.ne.jp

d.hatena.ne.jp

d.hatena.ne.jp

今回は,この難しく,めんどくさいフレネル積分ラプラス変換を使って綺麗に(数学的には汚く?)解きます. 今回使用するテクニックは,様々な積分を簡単に解くことができる方法ですので,使ってみてください.

本題:フレネル積分を解く

いきなりですが,\cos x^2e^{ix^2}を用いて表します.

{\displaystyle I = \int_0^{\infty} \cos x^2 dx = \Re \left\lbrack \int_0^{\infty} e^{ix^2} dx \right\rbrack }

 x^2=tと置換します.このとき,dx=\frac{1}{2\sqrt{t}}dtですので,次のように変形できます.

 {\displaystyle I = \Re \left\lbrack \int_0^{\infty} \frac{1}{2} \frac{1}{\sqrt{t}} e^{it} dt \right\rbrack }

ここで,s=-iと定めると,さらに次のように変形できます.

 {\displaystyle I = \Re \left\lbrack \int_0^{\infty} \frac{1}{2} \frac{1}{\sqrt{t}} e^{-st} dt \right\rbrack}

さて,f(t)に対するラプラス変換とは,

 {\displaystyle \mathcal{L}\lbrack f(t) \rbrack = \int_0^{\infty} f(t) e^{-st} dt}

でした.  Iは,ラプラス変換を用いることで,次のように表すことができます.

 {\displaystyle I = \frac{1}{2} \Re \left\lbrack \mathcal{L}\left\lbrack \frac{1}{\sqrt{t}} \right\rbrack \right\rbrack}

これでだいぶ綺麗になりました. あとは, \mathcal{L}\left\lbrack \frac{1}{\sqrt{t}} \right\rbrackさえわかれば解けますね.

ラプラス変換の公式に,次のような物があります.

 {\displaystyle \mathcal{L}\left\lbrack t^{\alpha} \right\rbrack = \frac{\Gamma(\alpha+1)}{s^{\alpha+1}}}

この公式で, \alpha=-\frac{1}{2} s=-iとすれば求まります.

{\displaystyle \Gamma \left(\frac{1}{2} \right) = \sqrt{\pi}}

ですから,結局

 {\displaystyle \mathcal{L}\left\lbrack \frac{1}{\sqrt{t}} \right\rbrack = \frac{1}{\sqrt{s}} \sqrt{\pi}}

また,

 {\displaystyle \frac{1}{\sqrt{-i}} = e^{i(\frac{\pi}{4}+n\pi)}=\pm \frac{1}{\sqrt{2}}(1+i)}

です. 困ったことに,正負の両符号が出てしまいました. ここで,

 {\displaystyle I = \Re \left\lbrack \int_0^{\infty} \frac{1}{2} \frac{1}{\sqrt{t}} e^{it} dt \right\rbrack }

であったことを思い出します. これをちょっと変形すると,次のように級数として表すことができます.

 {\displaystyle I = \sum_{k=0}^{\infty} \int_{k \pi}^{(k+1)\pi} \frac{1}{2} \frac{1}{\sqrt{t}} \cos(t) dt = \sum_{k=0}^{\infty} I_k}

 x\ge 0 \frac{1}{\sqrt{t}}は単調減少関数,さらに k \ge 0について|I_{k+1}| \le |I_k|ですから, I_{2k} + I_{2k+1} \ge 0となります. したがって, I \ge 0です.

 {\displaystyle I = \frac{1}{2} \Re \left\lbrack \mathcal{L}\left\lbrack \frac{1}{\sqrt{t}} \right\rbrack \right\rbrack = \frac{1}{2} \Re \left\lbrack \pm \frac{1}{\sqrt{2}}(1+i) \sqrt{\pi} \right\rbrack}

以上より, I \ge 0を満たす解は,次の通りとなります.

 {\displaystyle I = \int_0^{\infty} \cos x^2 dx = \frac{1}{2} \sqrt{\frac{\pi}{2}}}

まとめ

ラプラス変換を用いると簡単になる積分の問題として,フレネル積分を取り上げました. 結果として,ラプラス変換を使用しない正攻法を用いた方法よりも簡単に求めることができたと思います. ちなみに,ラプラス変換を使用する方法では,簡単な置換積分ラプラス変換とガンマ関数の値さえ覚えておけば,フレネル積分を解くことができます.